現在の空手界は、競技化が進み一般的にはスポーツとして認められつつありますが、実際に私の元で空手を修行している稽古生には【空手は武道だ】という事を念頭に稽古に励むよう指導しています。武道の世界では課題は対戦相手にではなく、自分にあるので、周りの環境やルールにではなく、自らの「精神力」と「肉体」に問い、日々の稽古に励むことが必要です。そして自らの内にある「敵」と戦い、自らの力で「新しい世界を切り開く」ということが大切だからです。そしてこれこそが武道の素晴らしさだと思います。武道とは、本来【護身術】として生まれたと私は思っています。先に述べましたが峰丈流は、護身武道を目指しています。峰丈流が言う【護身武道】とは、傷つかず又傷つけず相手の戦闘意識を封じることです。武道の「武」とは「戈(ほこ)」を「止める」と書きます。即ち争いごとを止めるという意味があると聞いています。争いごとを止めるにはそれ相応の【力】が必要。しかし自分の【力】を抑制する【精神力】と【技】が伴わないと【力】はただの【暴力】にもなってしまいます。それゆえ、護身術としての武道に大切なのは、まさに先人の武人達がおっしゃった「心・技・体」のバランスを考え、日々の稽古の中で子供たちを指導育成してゆこうと思っています。これからの時代に生きる子供たちに要求される事は色々ありますが、まずは「生きる力」、自分と自分の大切な者達を守り、強く生きる「力」をこの武道を通じて身に付けてほしいと思います。そして何よりも、大好きなものに一生懸命取り組み、生き生きと自信を持って輝く子供たちを、たくさん育成したいと思っています。                           押忍